Eigamuroのブログ

映画は映画館で観たい。なんで? &映画や旅等に関する雑学ノート

『映画で読むアメリカ』

「映画で読むアメリカ」
朝日文庫。 1995.7.1.第一刷発行。
著者、長坂寿久

単行本は、1990年文藝春秋から刊行。原題は『映画、見てますか?――スクリーンから読む90年代のアメリカ』

長坂寿久・・1942年神奈川県生まれ。明治大卒後、日本貿易振興会、入会。  シドニー、ニューヨーク駐在。   本書発行時、JETOROアムステルダム事務所長。
【映画、見てますか? 映画は現代を読み、未来を予見する最適の教材であり、グローバル化時代の国際交流の最良の手段。 昔に比べて映画をみなくなったな、と感じる日本の大人たちに贈るスクリーンを通してのアメリカ社会論。】

全13章にプラス序章と終章。
序章・グローバル化時代の映画と国際理解。
第一章・アメリカ映画の中の日本。
第二章・ベビーブーマーの映画史。
第三章・レーガン政権とハリウッド。
第四章・ベトナム戦争映画の系譜。
第五章・フラッシュダンス現象。
第六章・ウェインからホフマンへ。
第七章・離婚、再婚映画の興隆
第八章・新たな人種問題の時代へ
第九章・新しい黒人像
第十章・現代のティーンエイジャー
第十一章・老人たちの革命
第十二章・オーストラリアの未来感覚
第十三章・90年代のアメリカ社会
終章・映画、見てますか


元来映画好きだった著者は、日本貿易振興会職員としてシドニーとニューヨークに駐在。 1983年3月から1987年7月まで、4年4ヵ月、ニューヨークに住んだ。
ジェトロ・ニューヨーク事務所は映画街のあるタイムズスクウェアの脇にある、そうだ。


あえて全章を書いたが、これを見ていただければ、この本の内容がおよそわかっていただけると思う。
もちろん、映画を通してみたアメリカ社会に関しての記述だが、一章だけオーストラリア映画の記述がある。
これは、著者がシドニーにもいたことと無縁ではなかろうが、1980年代はアメリカでオーストラリアブームだった、そうだ。日本でも?
テレビの大型連続ドラマとして『将軍』がヒットし、その後にオーストラリアを舞台とした『ソーン・バード』('83)があった。
ここで、もちろんオーストラリア映画について書かれてあるが、アメリカ人たちがもったオーストラリアという所への印象を述べている。
アメリカ人にとって、オーストラリアのイメージはフロンティアだ、と。 アメリカが失ったフロンティアを、未来へのイメージを感じている、とある。
とくに、ピーター・ウェィアー監督の『ピクニックatハンギングロック』('75)『ザ・ラスト・ウェーブ』('77)『誓い』('81)などの映画を、そこにあげている。 それらの映画を通して、オーストラリアのもつ言い難い未来感覚を、あるいはニューエイジ感覚を感じてた。
というわけで、それらのピーター・ウェィアー監督映画、やはり見たくなるわけです。


他、
アメリカ映画で日本(人)はどう描かれとらえられているかとか、レーガンが与えた夢とか、プラトーン現象としてベトナム戦争映画の系譜もあるし
《「地獄の黙示録」についてはここではなく12章のオーストラリア映画のとこでより詳しく触れられている。つまり、「地獄の黙示録」は単なるベトナム戦争ものとはとらえられていない》
、女性映画?やら男らしさ映画やら黒人映画やら老人映画やら離婚再婚映画やら、
多種多様。

まさに、映画は時代を映し出す鏡、異文化を理解しあう手段のひとつ。
映画を通してアメリカ社会を描きだしている。